下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは

下腿や足に静脈が浮き出て蛇行屈曲し、醜い外観を呈する病気の事です。女性に圧倒的に多く、男性にもみられます。 症状は病気になりはじめの頃は足が重く、だるく、こむらがえりの所に痛みがきます。静脈瘤が出来てしまうと足の重量感のみ残り、 それにも慣れきます。自覚的症状を訴えなくなりますので、外見上の醜さを隠すためロングスカートを愛用し、辛抱する人が多いようです。

本症は手術せずに治すことができます。当院で行っている下肢静脈瘤硬化療法がそれです。

下肢静脈瘤
硬化療法とは

静脈瘤内に硬化剤という特殊の薬を注入し、その部を外部から圧迫して、静脈瘤を消してしまう治療法です。入院の必要はありません。 当院では平成3年からこの治療法を始め、2000例以上の患者さんに2500回位の治療を行い良好な結果を得ています。 高気圧酸素療法と同様、 当院ではこの治療法を福岡市で一番最初にはじめました。


治療前       治療後

治療前       治療後
■硬化療法の利点
  1. 入院の必要がなく、外来で治療出来ます。
  2. 手術をしなくて済みますので、傷が残りません。
  3. 再発すれば外来で何度でもできます。
  4. 保険適応です。
■硬化療法の欠点
  1. 硬化剤注入部に色素沈着が残る事があります。
  2. 硬化剤で、静脈瘤内の血液が固まるため、硬結(しこり)を残す事があります。
  3. これらの合併症は時間の経過とともに軽減します。
  4. 硬化剤が漏れると皮膚壊死が起すことがあります。皮膚壊死は起るとその部を切除しなければなりません。 その頻度は稀です。
■静脈結さつ術

静脈は血液を手足末梢から心臓へ向って運ぶパイプです。人間は立って生活しますので、下肢の静脈には上肢に比べて 上行した血液が下降し易く、それを防ぐための静脈弁が発達しています。

静脈弁の閉りが悪くなり、閉鎖不全が起りますと血液は下降(逆流)して血液のうっ滞が起り、静脈瘤ができます。 血液の逆流がひどいとその部の静脈を結さつして血液が逆流しないようにしなければなりません。簡単な手術で日帰り手術が 可能ですが、軽度の全身麻酔をかけますので、当院では大事をとって一日入院をお勧めしています。

■硬化療法の検査
  1. 脈波検査
    これは弁不全でどれ位血液が欝滞しているかを調べる検査です。 罹患肢のだるさの指標になります。
  2. エコー検査
    静脈弁の動きから逆流(弁不全)の有無を調べます。
  3. 血管造影
    レントゲンで静脈を撮影し、逆流の部位、状況を肉眼的に判断します。